中津山香積寺

お彼岸会

彼岸は、春秋の昼夜が同じになる日を中日として前後三日間の各一週間です。仏教の思想や釈尊の教えに定められた法会ではなく、咀嚼された仏教思想により形成された修養の色彩濃い期間 であるとともに見事な大乗仏教の教えを展開するものだといえます。起源を聖徳太子に求める日本独特の行事で あるとも云われます。
 ご承知の通り、彼岸とは、此岸に対する言葉で仏国土をいい、浄土をいいます。対する此岸は、娑婆であり、三界であり、我々の現実世界であります。仏教はよく善悪、白黒、彼岸此岸、昼夜、楽苦等二元対比でものを説きます。特に彼岸と此岸というときは済度するに渡すという言葉の意味合いが明確に出てきます。菩薩の心である菩提心を説くとき、「菩提心を発こすというはおのれ渡らざる先に一切衆生を渡さんと発願し営むなり。」という渡しは、まさに此岸から彼岸へという意味です。
 また、仏教の思想を形成するに重要な概念が多々ある中、中道というものは大変に重要なものです。釈尊は、極端を捨てて、中道を歩めと仰いました。その意味で一年の中で昼夜の時間が一緒になる日を中心にして一週間を彼岸会と称し、中道を歩む徳目として「六波羅蜜」を説きます。
1.布施 2.持戒 3.忍褥 4.精進 5.禅定 6.智慧
これらの徳目を実践し、静かに日常を反省して、その赤心を墓参にて先祖に吐露する。仏教修養週間こそが、お彼岸会に他なりません。

蝋八接心

12月8日の明け方、お釈迦様は沐浴して、菩提樹の下で坐禅をしてお悟りを得たと伝えられています。
それまでの釈尊は苦行林で、様々な苦行をされていました。苦行の無益をさとり苦行林を去ったのですが修行からの逃避と非難されました。
しかし、これは快楽に身をやつす事と苦行に務めるという両極端からの自由、いわゆる中道を歩むという事であった。
この時の悟りこそ後に十二因縁と呼ばれるものであったと言われています。
このお悟りを、『成道会』ジョウドウエという法要によって称えるのですが、これを祝して禅宗では、12月1日から12月8 日の早朝まで坐禅を続けます。
これを12月の坐禅という意味で『蝋八接心』と呼びます。